妖怪大戦争

 終戦記念日に映画「妖怪大戦争」を見てきたのだがこれが出色の出来であった。上映中、ほとんどカタルシスしかない。「かわゆい!」「おもろい!」「かっこよい!」という感情のみがそこにあった。素晴らしい。

 成長する少年ものの映画として、ものすごく王道である。少年は常に巻き込まれなければならないし、大きな敵と戦うときは何か特殊な能力の備わった武器を手にしなければならないし、その際の動機づけは間違いなく「大切なものを守る」という意志の力である。バックトゥザフューチャーしかり、トイストーリーしかり、全ての素晴らしい少年映画はこのルールを守っている(つまり「素晴らしい少年映画」とは、バックトゥザフューチャーとトイストーリーと妖怪大戦争の3本である)。少年映画は、それらの記号をどう上手に消化するかでしかないわけだが、妖怪大戦争は完璧だった。そのストーリーと妖怪の素敵さが同レベルで享受されるという意味で。

 あとアギを演じる栗山千明さんと川姫を演じる高橋真唯さんがエロいエロい、造形としてエロいことこの上ない。仮にこの映画を男の子が見たならば、「やっべなんか川姫のヌルヌルした体みてたら股間がむずむずしてきたけど俺ヘンタイなのかも…」ってな性的トラウマをおぼえることは間違いなく、こういう体験を与えてあげるというのは大人にとって重要なことであるように思う。そういった意味で三池監督は信頼にたる大人である。しかし栗山千明さんのスタイルがもはや妖怪ではないのか!

「妖怪たちには、無根拠な幸福感、理由のない喜びがある」

 パンフレットより三池監督の言葉であるが、何の根拠もない幸福とか喜びとか楽しさとか愛とか、そういうのはとてもいいなあ、と思う。それと神木隆之介くんのびっくり演技と白い肌はすごい。この映画は本当にむちゃくちゃ面白いので、みんなも見に行った方がいいと思います。