我闘雲舞(ガトームーブ)というプロレス団体を初めて観戦する方のために

 ひとりのプロレスファンから言えることとして、2014年2月現在、プロレスを人生で初観戦するんだったらDDTプロレスリング、もしくは我闘雲舞(ガトームーブ)っていう団体が良いと思っています。もちろんそれぞれの団体にそれぞれの面白さがあり、それぞれの魅力があります。ただ、試合や選手の幅の広さや、プロレスって楽しい!という観戦後の満足感や、客席や雰囲気含めての入り易さを考えると、初観戦はこの2団体のどちらかがお薦めです。もちろん、友人からほかの団体に誘われたとかの場合は別ですよ。好きな人と一緒に観るプロレスは特別なので。

 でもまあ、事前に何の情報もないとなかなかプロレスの会場へ足を運ぶのは難しいってシャイな方もいると思いますので、本日は「我闘雲舞(ガトームーブ)」というプロレス団体について書きます。もし良ければ、初観戦の参考にしてもらえると嬉しいです。


我闘雲舞(ガトームーブ)ってどんな団体?>

 史上初の、タイを拠点とするプロレス団体です。日本の女子プロレスラーさくらえみ選手が2012年1月に旗揚げしました。タイで旗揚げしたのは何故かっていうと特に理由はないそうなのですが、プロレスという文化が根付いていない土地にプロレスを普及するという、言わば力道山先生と同じことをいま現在やっているのです。拠点はタイなのですが、2014年2月現在はほぼ毎週、日本でプロレス興行を行っています。


<どこに行けば観られるの?>

 ほぼ毎週のように「市ヶ谷チョコレート広場」(観客数は50名ほど)という小さなスペースで興行を行っていて、数ヶ月に一度、ビッグマッチとして「板橋グリーンホール」(観客数は150名〜200名ほど)という場所で興行を行っています。板橋ではリングの上で、つまりよく見たことのある形でのプロレスを、市ヶ谷ではリングではなくマットの上でプロレスを行っています。

 市ヶ谷は基本的には外というか室内なんですが窓は開けっ放しでして、板橋はいわゆる普通のホールです。個人的にはいわゆる「プロレス」を初めて観るのであれば板橋のほうが良いんじゃないかなあと思いますが、市ヶ谷には市ヶ谷でしか味わえない近さとか良さとかがあるので、初観戦が市ヶ谷っていうのはそれはそれで。まあでも、シャイな方とかプロレスに対して不安な初観戦の方は、やっぱり板橋のほうがお薦めかもです。でも市ヶ谷は、寒い日にはカイロを配ってくれたり試合後にあたたかいお茶が配られたり試合後に全員が握手してくれるので、両方ともすごく良いです。

 ちなみに我闘雲舞(ガトームーブ)は女性のお客さんに対して非常に優しい団体です。板橋大会は2014年2月現在、女性自由席は無料です(立ち見になる可能性もありますが)。市ヶ谷大会は女性客及び女性客と一緒に来た方は優先的に入場できます。


<どんな選手がいるの?>

 2014年2月現在の所属選手は、さくらえみ、里歩、帯広さやか、「ことり」、以上4名、全員女性です。練習生として、ふき、という女の子がいるので、もうすぐ所属選手になると思います。以下、所属選手を簡単に説明します。

 さくらえみ選手は、一人だけすごい年上の人です。ほかの全員と比べても単純にガタイが固くて分厚いというか、そういう人です。ブーイング担当ですが、たぶん全てのお客さんが本心では応援しています。すごく高い声で「負けてたまるかー!」って大きな声で言います。市ヶ谷ではロープがないので、最前列のお客さんに寄りかかって「押して!」って言って体を押させるのですが、ほぼ確実に誤爆か空振りしたあげく、試合後の握手のときに「押すのが遅いんだよ!」とか言ってくれます。さくらえみ選手の表情を観るだけでも、会場に足を運ぶ価値がある、希有な選手です。

 里歩選手は、天才です。現在まだ16歳なのですが、2006年にプロレスデビューを果たしているので、キャリアはもうすぐ8年。生まれながらのセンター。モーニング娘。’14で言うところの、鞘師さんです。とにかく表現力がズバ抜けていて、会場の空気を自分に持ってくる力と、マイクの「間」のセンスも素晴らしいです。間近で観るととんでもない美少女であり身にまとったオーラが尋常じゃないので、目を潰さないように注意する必要があります。


 帯広さやか選手は、何というか、まあ、帯広さやかです。そういう風にしか言えない魅力がある選手です。プロレスと、我闘雲舞と、さくらえみさんのことを好きすぎて、それがそのままファイトスタイルに繋がっています。常識外れのあり得ないムーブやロープの使い方をするので、試合中は一瞬も目が離せない選手です。あと、北海道出身なので色が白いです。料理が上手です。人間らしさを表現してくれる選手です。

 「ことり」選手は、2014年4月から高校生に進学する年齢の選手です。体格は小柄なんですが、体がとにかく柔らかくて、頭を使って体を動かしているので、こんな技があり得るんだ!っていう技を繰り広げます。後ろから飛びついて足で相手の腕を絡めてそのまま絞め技とか、普通のプロレスじゃ観られない技を出してくるので、何度観ても新鮮で。初代タイガーマスクをリアルタイムで観た人とたぶん同じくらいの感動があります。雰囲気がとにかく可愛らしいので、ひと目観たら絶対に応援してしまうような選手です。

 所属選手のほかにも定期参戦選手なども多数いるのですが、共通して言えるのは、誰もが我闘雲舞を愛しているというところ。マサ高梨選手、アントーニオ本多選手、DJニラ選手が筆頭ですが、我闘雲舞のリングでしか現せない愛情を存分に流出してくれるので、そこがまた素晴らしいです。


<どうやったら観られるの?>

 板橋大会はビッグマッチなので、よっぽどのことがない限り当日券でも入れるはずです。ただ、板橋も市ヶ谷も、事前にチケットが売れたり予約が入ったほうが選手の皆さんも安心なので、行けそうな日があるなら事前に予約することをお薦めします。「わふーでよよよ!」という我闘雲舞のオフィシャルブログがあるのですが、観たい大会の記事にはほぼ間違いなく書かれている「よよよチケット」までメールを送りましょう。それで、予約は完了するので、当日の試合開始時間までに行けば大丈夫です。

 知らない人にメールを送るのは意外とハードルがありますが、よよよチケットのアカウントを管理しているのはさくらえみ選手なので、感謝の気持ちのこもったメールが返ってくるはずです。すごく優しい人なので、怖がらずにメールを送ってみましょう。びっくりするぐらい、嬉しがってくれます。


<事前に何かやっておいたほうが良いことはある?>

 板橋も市ヶ谷もですが、試合が始まる前にさくらえみ選手から、試合の意味合いを一試合ずつ説明をしてくれます。なので何の用意もなく観戦に行っても絶対楽しめるのですが、もし余裕があるなら、「わふーでよよよ!」の試合前の選手コメントを確認していったほうがより楽しめるかもしれません。特に板橋大会は毎回、出場選手のコメントが掲載されているので、それを読んだうえで観戦するとより面白くなるはずです。

 あと、決めごととして言う言葉があるので、そこは事前に覚えて行ったほうが良いかも。と言っても、簡単なのですが。コール&レスポンスがあります。
 「リャオサイ?」(メシャーイ!)
 「リャオカー?」(メシャーイ!)
 「トンパイー?」(シャーイ!)
 「レッツゴー!」(ガトームーブ!)
 っていうのが、試合前と試合後にたぶんあります。()で書かれた中の言葉がお客さん担当なので、言える人は言いましょう。これはタイの現地の言葉なのですが、意味としては「左に行くか?」「違う!」「右に行くか?」「違う!」「前に進むのか?」「そうだ!」「さあ行こう!」「ガトームーブ!」って感じの意味合いです。の、はず。あんまり覚えてないのですが。最後の「ガトームーブ!」のときは片手を天に突き上げましょう。

 それと、どんな大会でもさくらえみ選手が前説で出てきて今回の試合の意味合いを説明してくれるのですが、その際必ず「今日初めて来てくれた人―?」と質問してきます。そこで手を上げると「何を見に来てくれたんですか?」と普通に会話が始まってしまうので、手を上げる人は事前に答えを用意しておきましょう。まあ、どんな答えであってもさくらえみ選手は非常にうまいこと回収してくれますので、取りあえず答えれば何とかなります。思いつかない人は「さくらえみ選手を見に来ました。友人の紹介です」とか言っておけば、大丈夫な空気になります。


<試合が終わったらどうするの?>

 板橋でも市ヶ谷でも、試合終了後は物販が始まります。このとき、試合を観て感動したら、その気持ちを選手に伝えてみましょう。特に我闘雲舞はどの選手も人間的に素晴らしいので、それを嫌がる人はいません。グッズを買うとサインもしてくれるので、初観戦の思い出を作りたい方は是非物販まで残ってみてください。そのサイン入りグッズは、これから先ずっと、あなたの誇りになります。プロレス初観戦は、人生で一度しかありません。その思い出をサインとともに残すことは、決して無駄にはならないので、是非お試しを。というか、それできるあなたのことをズルいな!とまで思っていますが。

 で、板橋も市ヶ谷もですが、別で用事がない限りぼくは奥さんと一緒に我闘雲舞を観戦しているはずです。試合が終わっても興奮さめやらず語りたいなら、一緒に語り合いましょう。ぼくのツイッターアカウントは @aizawaaa なのですが、リプライなどいただけたら会場の近辺で飲みながら話しましょう。そのときはきっと、ぼくも絶対、語りたいはずなので。


 以上、我闘雲舞(ガトームーブ)というプロレス団体を初めて観戦する方のために向けての僭越ながらのアドバイスでした。これからも皆さんのプロレス人生が、よきものであることを本当に願ってやみません。今後とも、何卒宜しくお願い致します。