僕らのミライへ逆回転

 まず、こんなに間違え易いタイトルの邦題ってないよね。「僕らのミライへ」って言われたら、なんか全然意味なく「大逆転?」って言いそうになる感じというか。逆回転って何?っていう。別に時間をどうこうする話でもないですし。あんま未来とかそんなこともないし。そんなご意見でお馴染み「僕らのミライへ逆回転」なわけですけども。

 正直、そんなに面白いわけでもないし、特に好きでもないんだけど、観終わったあとに、ああ、この映画って自分にとって大切だな、っていうことを思う。ただ単純に事実として、これは自分にとって大切だな、という、そういうことを思うってことは俺もわりかし歳を取ったなってことなんですが。

「ハリウッド映画をリメイクして貸し出す」っていう風な説明だけ聞いて観てて、実際途中までそういう話なんだけど、後半は全然違うんですよね。ネタバレになるんであれなんですが、一人のついた嘘をみんなで守る話になっていく。前半のリメイク話とかどうでもいいじゃん、ということを途中から思うけど、まあそれでもぐっとくるというか。

 たぶん、前半のリメイク話でコメディに特化したほうが絶対面白いし、もしくは、後半の話を2時間やったほうが絶対に泣けるし最高に面白いし。でもたぶん、両方やりたかったんでしょうね、ゴンドリーさんは。じゃあ仕方ねえよなっていう。しかもこれが処女作とかじゃないっていうのが異常な情念の深さっていうか、すげえ童貞っぽい。そもそもミシェル・ゴンドリーは顔が童貞っぽいよ。そこはすごく信頼できるポイントなので、童貞顔ランキングナンバー1の座を差し上げたいと思います。

 チャーリー・カウフマンはどうしても好きになれないんだけど、ミシェル・ゴンドリーは嫌いになれない、とかそんなことを思いました。あとこの映画観て気付いたんだけど、「聖☆おじさん」の元ネタってゴースト・バスターズだったんだ! どんだけ気付くの遅いんだという。まあ、そんな具合の日々です。