映画「ヤッターマン」を批判する人は脳にウジが湧いているとしか思えない

 という話であって、映画「ヤッターマン」を観に行ったわけですが、この映画を面白いと思えない人っていうのはどんな映画を観たら面白いって思えるんだろう?と考え込まざるをえないほどあらゆる意味で完璧な映画だった。もう全部が全部素敵すぎる。

 細かいところを挙げていけばキリがないが、いちばん素晴らしいのは作り手および役者陣の、ヤッターマンの原作のお話というか言うたら茶番なわけですけど、そことの距離の取り方というか、決してバカにしてるわけじゃないんだけど、でも同時に盲目的に信じ込んで思考停止してるわけじゃないっていう、その距離の取り方っていうのが実に素晴らしい。ちゃんとしてるんですよね、要は。「妖怪大戦争」でもそうでしたけど、死ぬ気でふざけてる感が尋常じゃない。

 例えばヤッターマン1号と2号がヤッターワンに乗って移動するシーンがあるんだけど、海を超え砂漠を超えて移動する中、1号と2号がハコ乗りして決めポーズで乗ってるんですよ。それって無茶苦茶アホなわけですが、それをちゃんとやる。ちゃんとやった上で、ギャグとして成立させてるっていうそのやり口が実に絶妙なわけですよ。軽くそのシーンだけやってすぐさま「意味ないじゃん!」ってあっさり楽屋オチにすることも出来るけどそうはしない。ちゃんと結構長めに見せといてギャグとして消化するっていう、そこはもう技術の話だと思うんだけど、あらゆるそういった種類の場面が本当に完璧すぎて恐れ入る。

 バカにしてないけど思考停止もしてないっていうのは、要は観客の視点からちゃんと作っているっていうことであって、ゆえにギャグがちゃんと笑えるというか。だからプロレスと一緒なんですよ。メタ的な視点からの楽屋オチでもなく、普通にプロレスの試合を見せるというのでもなく、自らのジャンルがプロレスであるっていうことを自覚した上で作られるプロレスっていうのが自分はいちばん好きなんですが、それを可能にするのは日頃からつちかった技術であり、細部に対するこだわりというか単純にそこにかけた時間や手間ひまと言った数字的な物量なのであって、だから日々頑張らなあかんよ我々は、というお話なんです。

 あと櫻井翔のバカっぷりというか何も考えてなさっぷりが尋常じゃない。いるだけ、というポジションなんだけど、この役は他の人にはちょっと出来ないんじゃないのかと言ったら言い過ぎか? でも、ジャニーズがこれをやってる、っていうことにすごく意義があると思うしこれが山田孝之だったらやっぱ違うと思うんですよね。出てる人は全員が全員最高に良かった。深田恭子の声の可愛さはあり得ないことになっている。

 ということで、映画「ヤッターマン」は全部まるまる完璧だった。否定できる部分は一カ所もないと言って過言ではないです。