「聖☆おにいさん」を面白いって言いたくない相沢がなんで「聖☆おにいさん」を面白いって言いたくないのかとか

 言っちゃえば、「聖☆おにいさん」は面白いですよ。それを前提として話を始めましょう。「聖☆おにいさん」は面白いマンガです。

 で、「聖☆おにいさん」を本気で面白いって思ってる人がいるってのもそりゃそうだろうと思います。ギャグマンガとしても優れてるし、萌えマンガとしても読むことができるし、宗教キャラのギャグっていうのも斬新ですよ。だから「聖☆おにいさん」を本気で面白いマンガだって思ってる人に対して、俺は何も思わない。ああそうすか、てなもんですよ。だってマンガの好き嫌いでケンカなんてしたくないもん。大人だし。マンガの好き嫌いでケンカするのは、コロコロ派かボンボン派かで争ってた小学生時代で終わりだと思ってる。

 でもそれでもやっぱり、「『聖☆おにいさん』を面白いって言いたくないなー」って気持ちはあって、色んな反響があったもんだからちょっとちゃんとその理由とかを考えたんですけど、ひと言で言っちゃえば「聖☆おにいさん」ってそんなみんながみんな面白い面白いって言うような種類のマンガじゃねえだろ?ってことなんですよ。面白いですよ。面白いけど、「『聖☆おにいさん』は面白い」っていう意見をわざわざ表明するような種類のマンガではないと思うんですよ、やっぱり。少なくとも、その意見が表明されすぎてるって俺は思っていて、それがすごい気持ち悪いんです。

 面白いよ。確かに面白い。でもそれって「エリートヤンキー三郎」と同じ感じの面白さじゃないですか、例えて言うなら。面白いけど、「このマンガは面白い!」ってわざわざ言うマンガではないと思うんですよ。これは質がどうこうって話じゃないです。そのマンガを面白いって思うか思わないか、そしてそれを言うか言わないかでセンスがどうこうとかって話でも全くないです(そんな気持悪いこと口が裂けても言いたくない)。これは単純に、マンガの種類としての話です。たまに連載で読んで笑ったりとか、友だちの家に遊びに行ったら面白かったから続きを買って読んでみるとか、そういう読み方がふさわしいっていうか、そういう読み方でこそ一番面白いって思える種類のマンガだと思うんですよ。アクティブな楽しみ方をするマンガじゃなくて、すごくフラットに読まれるのが一番良いって種類のマンガ。「聖☆おにいさん」って本来はそういうマンガなんじゃないのか、やっぱり。と俺は思ってる。

 だから俺が言いたかったのは、「聖☆おにいさん」っていうのは面白いマンガではあるけれども、「これ面白いよ!」って言うような種類のマンガじゃねえだろっていうか、言わなくていいんじゃねえの、ってことなんですよ。もうそういうのは「デトロイト・メタル・シティ」で打ち止めにしてほしいんですよマジで。俺は「デトロイト・メタル・シティ」を未だに読んでいなくて、でももし今後あのマンガを読むとしたら、色んなことを前提として考えながら「デトロイト・メタル・シティ」と向き合わなくちゃいけないじゃないですか。そういうのが嫌なんです。普通に読みたいんですよ、面白いマンガを。だから「聖☆おにいさん」に関しては、マンガを読むにあたってのいらない雑音が多すぎるっていうのがすごい気持ち悪くて、だから自分が書いた「聖☆おにいさん」に関するエントリがいらぬ反響を呼んでしまってるっていうのは同じ意味ですごい嫌なので、あんなのに反応する時間があるなら漫画喫茶に行って面白いマンガを読めば良いのにって思ってます。だってあなたは、マンガが好きなのだから。でしょう?