向田邦子「あ・うん」

 向田邦子先生の「あ・うん」を読ませていただいたんですが、何これ? こんなん面白すぎねえ? 何で誰も俺に向田邦子の面白さを伝えてくれなかったわけ? っていうかこれだけ面白いんだったら、お前ら俺に内緒で、全国民一緒になって俺に向田邦子の面白さを気づかせないために色々画策してたんじゃねえの?って疑いを持つぐらい、持ってしまわざるを得ないぐらい面白くねえ? マジこれ読んでないヤツ超意味分かんねえし。本当、面白いとしか言い様がないぐらい面白かった。

 こんな面白い物語があるんだったら、ハッキリ言ってアクションとかがマンガにすりゃ良いと思うんですよ。谷口ジロー先生で。でも谷口ジロー先生も忙しいから、柳沢きみお先生とかで。何でアクションで柳沢きみお先生のマンガが読めないのかがさっぱり分からないですよ。国友やすゆき先生が描いてるマンガ雑誌柳沢きみおの先生のマンガが連載されてないなんて、嘘っぱちですよ。そんな世界は俺はいらない。大市民みたいなの描けばいいじゃない? そしてアクションはそのマンガを掲載すればいいじゃない? そりゃ面白くはないよ。でもマンガって面白くなくても良いでしょう? 特に連載マンガなんてのは、面白くなくても語れればいいんだから、柳沢みきお先生は今のマンガ界にこそ必要な人じゃないですか? どうなんですかその辺?

 本当にすっごい面白かったので、メモです。

女に生れたのに愛も恋も知らず、抱きつく相手が樹というのは口惜しいが、さしあたって見廻すと、女学校の体操の先生か門倉のおじさんしかいないのである。

 さと子の純情エロスは萌えさせすぎる、俺を。こんなの胸ドキすぎる。もしいま映像化されるんだったら、長瀬と付き合う前のあいぶさきちゃんに演じてほしい。

たみは、汗っかきの仙吉をあおぎ、三度に一度の割合いで門倉にも風を送っていた。

 たみの隠しビッチっぷりっていうのは筆舌に尽くしがたい。これは、年を取ってからの中川翔子さんが演じると良いのではないだろうか?

この日、さと子は嘘をついた。(略)嘘と珈琲はよく似合うことに気がついた。

 このテキストサイトっぽい表現ってすごくね? ISM(アイデアルモンタージュ・スタンプ)か。もしくはガックンロールか。という。

 いや、とにかく面白かった。この作品を例えば東村アキコ先生がマンガにしたら超絶的に面白くて歴史に残るマンガになると思うので、関係各所の皆さんは是非その方向で頑張って欲しい。変におしゃれにせず、速球勝負で。2008年の師走に向田邦子の面白さを語る意味っていうのは全然ないと思うんだけど、でもすげえ面白いよ! ブログなんてもんは、面白いものを面白いって言ってれば良いんだよ、それが表現形態として許されてるっていう僥倖を認識して、生きてんだか死んでんだか分かんない感じで生きてりゃいいんだよ俺たちは! と、思います。