納涼祭@松ノ木小学校

 わりと近所にある杉並区立松ノ木小学校にて、納涼祭なる盆踊りとプロレス興行の融合を目指したメディアミックスイベントが行われたのでアロハ一丁で冷やかしに出かけたところ、たいへんに面白くて驚いた。最近では面白いことをオモロー!と言うらしいが、まさしくオモロー!なイベントであった。

 まず、菊タローマッスル坂井が本当に極悪。公衆の面前で小学校の爆破予告をしたレスラーがこれまでにいただろうか? 小魚を焼き殺すと掲示板で予告しただけで逮捕されるこんな時代に、あり得ない狼藉である。しかもその理由が「小学校がなくなればずっと夏休みだゼぇ〜?」という完全に小学生寄りなもの。もはや善なのか悪なのか分からない上に、試合が始まったら始まったで観戦に来ている純真な小学生を人質に取るという凶行に。こんなもん、レスラーの皮をかぶった通り魔じゃねえか!

 試合中は高山と坂井の場外戦でやぐらに登っての戦いなど見所も多かったんだが、個人的なクライマックスは当然のように勝利をおさめた鈴木みのるのこんなマイクパフォーマンスだった。

 みんな!
 ちゃんと勉強しないと、こんな大人(菊タロー&坂井)になっちまうぞ!
 夏休みはめいっぱい遊んで、二学期から頑張ろうぜ!

 なんでこんな陳腐な言葉にぐっときてしまうんだろう? 「夏休みはめいっぱい遊んで、二学期から頑張ろう」って言葉を、小学生に向かって鈴木みのるが叫んでるっていう場面を見て、なんで普通に涙が流れてしまうんだろう? 完全に心を掴まれた。この言葉を小学生として聞くためにだけ、松ノ木小学校に転校したいとさえ思った。それほど素直な、感動的な台詞だったと思う。

 こんな子ども騙しな台詞もそうそうないとは思うけど、だけど、子ども騙しだからこそ素晴らしいのだ。プロレスも、お笑いも、たいていの良いものっていうのは素敵な子ども騙しだ。この日の納涼祭はプロがちゃんと造り上げた子ども騙しであって、だから松ノ木小学校のみんなには精一杯夏休みを楽しんでほしい。夏休み初日がこんな素晴らしい日だなんて、ちょっとうらやましすぎる。

 蛇足になるが、菊タローが小学生を人質に取ったとき「ここで校長先生が突如乱入してきて『うちの生徒を離しなさい!』とか言って菊タローをボコボコにしたら……」と想像して、一人で勝手に感動して泣いてしまいました。末期か?