年齢の話

 なんか気づいたら俺も年を取ったもんだよみたいな話のときにさ、ずっとお兄さんだと思ってた高校球児をいつの間にか追い越してたわーとか、ふと数えてみたら横綱より年上だったわーとか言うじゃん? でも、あったね、もっと心に染みるやつ。学生のころに夢中で聴いてた深夜のAMラジオのパーソナリティにいつの間にか追いついちゃってたよっていうね。

 俺がいま27で、今年28になるのね。松坂とか広末とかと同い年なんだけど、まあそれはそれとしてさ、いまニコニコでかなり昔に文化放送でやってた今田東野のカモンファンキーリップスを聴いててさ。俺当時からもうこの番組はガッツリ毎週聴いててゲラゲラ笑ってラジカセでくそ安いテープに録音までしてたんだけど、で、この日のゲストが伊集院光なの。ニッポン放送やめてTBSで馬鹿力を始める前の空白の期間なんだけどさ、この今田東野と伊集院っていうのが全員当時27歳で、いまの俺と同じ年齢なんだよね。ちょっとね、それはさすがに度肝を抜かれたわ。

 まあ何つうの、そりゃ年も取るわって話だよ。だって思春期だったころの自分にかなり多大な影響を与えたあの人と、いまの自分が同い年だったっていうこの衝撃ね。相当くるよね。だからって別に今現在の自分の無力さ、しょうもなさに落ち込むってこともないんだけど、まあこの年になると色々と辛いこともあるじゃん? 普通にしがらみとか社会的な政治とかあるじゃん? そんなん永遠に逃げられるって思ってたけど、でもあの頃の伊集院とか今田東野と同い年だとして考えるとそれってもう相当に大人なわけでさ、だとしたらある意味辛くて当たり前というかね、もうちょっと腰据えて頑張ってみようよ、ってそんなに前向きな話にもならないんだけども。

 特に結論みたいなものがあるわけじゃないんだけど、あのころ部屋でひとり聴いてたラジオのDJがいまの自分と同い年だったっていうことを知って思ったのは、俺はもう言い訳のきかない立派な大人なんだなっていうことと、そりゃ立派な大人なんだからそれなりに辛かったり大変だったりしますわな、ということでした。あと俺は風の大地の主人公、沖田の年齢もいつの間にか追い越しちゃってたりして、それはそれでちょっと悲しい。