ハロッスル第二回

 第二回「彼女たちの決意」の巻

 その日の飛天の間に満ちた興奮を、一体誰が伝えられようか! あのハロー!プロジェクトが、プロレスへの転身を図ったその興奮を! 後にホテルのボーイマンは語ったという。「あの時の興奮ですか? そうですね。ぼくは思いました。死ぬなら今かもしれない」と……。いや、よそう! ともかくその場に、各団体をまとめる6名のリーダーが集まったのであった。そして彼女たちは一人ずつ、自らの団体の進む道を語ったのであった!

 吉澤ひとみは語った!

「あーども、よっすぃーです。まあね、今回、プロレスっていうことでね。最初はもちろん、とまどい? オイオイなんでだよって部分、ありましたけどもね、まあやったんぞと。芸能の世界ではもうトップ取ったんでね、今度はプロレスの世界でトップ取ってやるよと。そういう気持ちですね、今は。
 つーことでね、ウチの団体なんですが、団体名はハロー!プロレスリング。メンバーとしては、現在の娘。のメンバーが全員加入してくれるってことなんで、まあこいつらと一緒にやっていこうかと。ガチで強いヤツらが見せる総合芸術を見せようと思ってます。
 正直ね、最近娘。がナメられてる部分もあるんでね。ゴチャゴチャ言ってるヤツらは黙らせますよ。一流が見せるプロレスはやっぱ一流だったって言わせたいね。邪魔なヤツらは全部ぶっツブす。それだけ」

 松浦亜弥は語った!

「どうも〜、松浦亜弥で〜す。えっとですね〜、今回はプロレスということで。よっすぃーが怖い顔してるんでビックリしちゃってますけど(笑) まあそんなに怒んなくてもいいじゃん?とか思います〜。
 とりあえず私の団体の名前は、チームあややにしました。なんか恥ずかしいですけど(笑) メンバーはですね、私と、Berryz工房のみんなが入ってくれるって言ってくれたんで、みんなと一緒にやっていきたいです。目指すスタイルですか? そうですね〜、やっぱり楽しいプロレスっていうか、お客さんをとにかく楽しませるようなプロレスがいいなぁ〜と思ってます。エンタメ路線?って言うんですか、そういう感じですかね〜。
 ハッキリ言って強さは求めてないです。大人さんから子供さんまで楽しめるプロレスがやりたいですね。がんばりま〜す」

 後藤真希は語った!

「後藤です。まあ今回ね、プロレスって話なんですけど、冗談じゃねえよって感じですね。笑わせるにしてももうちょっとマシな冗談言えってね。プロレスって言葉自体大嫌いなんで。まあこんなこと言うとアレですけど、あたしはヤオやるためにこの世界入ったわけじゃないし。やっぱりね、佐山さんのケーフェイとかミスター高橋の暴露本とか読んで衝撃受けてきてるんで、ヤオは考えてないです。オールガチで行きます。ストイックに強さだけ求めてくっていう、そういうやり方で行きたいと思ってます。
 メンバーはね、あたし一人でやってこうと思ってますね。まあ来るものはこばみませんけど、足も引っ張られたくないんでね。一人で強くなろうと思ってます。団体名? あぁ、考えてなかったわ。いいですよ、名無しで。NO NAMEとかにしといてください。
 とりあえず、来月あたりブラジルで本場の柔術勉強してくるんで、今はそれで頭いっぱい。素手で人を殺せる人間になりたいです」

 中澤裕子は語った!

「あ〜、中澤や。すんませんね、今日二日酔いなんで、軽く説明させてもらいますわ。え〜、うちらの団体は、名前がね、なんやったっけ? ああそやそや、ファックファッキングファクトリー。もうね、名前からも分かると思うけど、ヒール団体やね。凶器の使用はピストルまでオーケー。正直なところ、30過ぎてそろそろ人間を殺してみたいっていう気持ちもあるんでね、そういう生臭い部分も見せたろかなあ、思てます。
 メンバーはうちと、稲葉と保田やね。まだ連絡は取れてないんやけども、とりあえずこの3人を想定してます。いま稲葉がシャブでポリにパクられとってね、保田はホストに狂ってて連絡取れてないんやけど、まあ連絡取れたらええ返事もらえると思いますわ。人間が死ぬときの、断末魔っちゅうの? そんなん聞きたいんやったら、うちの興行見に来たらええんちゃうかと思ってます」

 柴田あゆみは語った!

「こんにちは、柴田あゆみです。今日はお集まりいただきありがとうございます。
 えっと、私の団体なんですけど、名前はUGOUっていう名前です。なんかよく知らないんですけど、烏合の衆っていう言葉があるんですよね。確かそういう名前の格闘技チームがあったと思ったんで、そこから付けさせてもらいました。メンバーは、メロンの4人と、美勇伝さんと、カントリーさんとココナッツさんですね。とりあえず集めてみました。
 目指すスタイルですか? そうですね、やっぱり古き良きプロレスというか。例えば昔の全日さんとかって、みんな見に行った帰りに笑顔だったじゃないですか? だからそういうプロレスを目指したいです。ってことは私が馬場さんで、梨華ちゃんジャンボ鶴田さんみたいな感じですかね。あとひとみんが本田多聞の服が着たいって言ってるんで、それは着させてあげたいと思ってます」

 安倍なつみは語った!

「こんにちは、安倍なつみです! えっと、今回つんく♂さんにプロレスやれって言われて、でも、え〜、全然知らないし〜って(笑) わたし本当、プロレスとか分かんないんですよ。一度も見たことなくて、だからどうしようって感じなんですよね。本当、どうしたらいいですか〜?(笑)
 もう本当に全然プロレスとか分からないんで、とりあえずみんなのやってるヤツを見てどうするか決めようかなぁ〜って思ってます。だからみんな、プロレスやってるとことか見せてね? 参考にするから。頼むべさ!(笑)」

 こうして選ばれし6名が自らの理想を語ったのであった! かつて前田日明は団体設立の際「選ばれし者の恍惚と不安、二つながら我にあり」と語った。生来の滑舌の悪さによりほとんどの客がその言葉を聞き取れなかったのであるが、それはさておき選ばれし6名は、こうしてそれぞれに恍惚と不安を語ったのである! その場にいたほとんどの者が、彼女たちの輝かしい未来を信じていた! そう、その場にいたほとんどの者が!

 苦々しい顔を露骨に見せるつんく♂を除いた、ほとんどの者が……!(続く)