ファインディング・ニモ

ファインディング・ニモ

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「信じる」ことについての素晴らしい、あまりにも素晴らしいストーリーであって、この映画が心の琴線に触れない人間は脳に何かしらの障害を持っていると断言できる。そもそも自分の力の及ばないものに対して「信じる」という行為はそれだけで感動的で、ニモが生きているということを「信じる」マーリンの姿は無条件で泣ける。ここで「信じる」対象とは例えば、自分はニモのところまで辿り着くことができる、などといった自身の行動に関わるものであってはいけない。「信じる」対象と自分の行動が互いに干渉しないからこそ、その行為は美しく、また感動的なものとなるのだろう。

ストーリー全体のクライマックスがニモと再会するシーンではなくむしろその後に想定されているのはそれ故であって、つまりは信じていたものを手放すということ。自らの意志で、「信じる」対象を自分の力の及ばない場所へ置くという選択。それこそが感動的であり、このストーリーが完璧たる所以だといえる。

(例)マーリンをWOTA、ニモを娘。に置き換えた恋物語

また狂言まわしであるドリーの「忘れっぽい」という性格設定は天才的な発明であり、この設定を考えた人間は相沢から小遣いを貰う権利を有しているので早く申し出てくれることを願う。