年の瀬だよ! マンガアワード2009

 日本の年の瀬の三大風物詩と言えば、徹子の部屋にゲスト出演したタモリの密室芸と、年末年始のお餅需要を鼓舞する越後製菓のコマーシャルにおける高橋英樹のかぶいた衣装と、あと一つ、マンガアワードですよ。相沢が、その年に読んですげえ面白かったマンガのベスト5を決める例のあれですよ。今年も色々ありましたけどね、まあ、暗いニュース明るいニュース、色々ある中で、マンガも色々あった。そんなわけで、相沢が選ぶ2009年のマンガアワードを発表します! 相沢のマンガアワード2009が読めるのは「恋愛」だけ!

第1位 末次由記「ちはやふる

 はっきり言って、このマンガには、人類がマンガに求めてるものが全て詰まってるって言っても過言ではないと思う。なんでこのマンガをこの時期になるまで自分が知らなかったのかが理解できない、むしろ歯がゆい、そんな想いを抱いてしまうぐらいの超絶パーフェクト大傑作であると思います。これはもう、全人類に薦めることができる。もし宇宙生命体が俺の家に不時着してきて、なんか日本の文化でMANGAというのがあるらしいんだけどそれって何なの、みたいな質問をされたら俺は迷わずこのマンガを差し出すだろう。それが原因で宇宙戦争になっても悔いはないと思う。今現在、マンガ、っていう表現を使って提出された、最高峰の大傑作であると思う。

 少年マンガとして読んでも、少女マンガとして読んでも、青年マンガとして読んでも、スポ根マンガとして読んでも、恋愛マンガとして読んでも、非の打ち所がない。マンガってここまで来たんですよ!って、俺がいま死んだら手塚先生に真っ先に伝えたい、そんなマンガです。これを読んで面白いって思わない人がいたら、その人はもうマンガに向いていない人なので、死ぬまでマンガを読まないほうが良いと思います時間の無駄だから、って、本気でそう言える作品です。超絶おもろい。

第2位 大場つぐみ小畑健バクマン。

 職業マンガでありながら、なおかつジャンプの舞台裏をジャンプ誌上でやってるっていう明らかにルール違反のマンガでありながら、同時にジャンプの王道、本筋を追い求めていてなおかつ具現化してるっていうのが信じがたい。完全に、熱血なんですよね。ジャンプルールが、物語上で装置にしかなっていないという。こんなにワクワクするマンガのあり方があるんだ、っていうのと同時に、こいつらはどんだけワクワクするマンガを描いてくれるんだろう、っていう期待が常にある。生まれて初めて、単行本の発売日を気にするマンガ作品なんです、自分にとって。

第3位 久保ミツロウモテキ

 ぼくはいつかちゃんのことが本当に大好きで、いつかちゃんのことを幸せにしたいって真剣に思ってるんです。でもぼくは、マンガの世界の人間ではないので、いつかちゃんのことを幸せにできないどころか、いつかちゃんと出会うことも出来ないわけですよ、死ぬまで。でもぼくは、だとしたら、いつかちゃんに幸せになってほしくないんですよ。だってぼくが与えられない幸せなんて、いつかちゃんにとっての本当の幸せなわけないじゃないですか? っていうことを、真剣に思うほどの面白いマンガです。マジで結婚してて良かった。もし俺が結婚してなかったら、マンガの世界に行っちゃってる可能性あるよ、本当に。

第4位 花沢健吾アイアムアヒーロー

 この第1巻の単行本をぼくは荻窪駅のホームで最後まで読んだんだけど(途中まで電車の中で読んでて止められなかったので)、そのとき思ったんのは、この作品は稀代の名作になるか、稀代の尻すぼみマンガになるかのどっちかだな、ってことだった。その結論はまだ出ていないので歴史に委ねるとしても、英雄とてっこの、いちゃいちゃしてるあのシーンを読んで、俺はもう頼むからやめてくれって懇願したのだった。あんなん、俺じゃん! なんとかっちゅ、みたいな感じとか、すげえ俺だな!って思って、もうそういう自分のあれとか見たくないからやめてくれよ!って真剣に体を曲げたし、そういう気持ちを抱いたのは安達哲先生の「さくらの唄」以来だったと思うので(しかもあれより根が深い)、ぼくは一生花沢健吾に付いて行きます。間違いなく。

第5位 東村アキコ海月姫

 東村アキコ先生のマンガで何が素晴らしいって、明らかな脇役が明らかな脇役で終わらないところなんですよ。誰もが生きてて、誰もが背負ってる。そこだけで、マンガって素晴らしいんだなって思える。これはもう、愛としか言い様がない何者かであって、愛じゃねえな、義務かもしれない。物語を作る人としての義務感がそこに見えるから、東村アキコ作品って信頼できるんだよなあ、ってそうは思いませんかみなさん?

総括

 今年もマンガは面白かったです!