ブロック・レスナーに考えさせられたこと

 今たまたまWOWOWUFCやってたんで見てたら、UFC世界ヘビー級王座にブロック・レスナーが輝いたと。相手はランディ・クートゥアで、俺はここ数年いわゆる総合、特に海外のものは一切見ていないので、ランディ・クートゥアってまだ現役なの!?ってそこから衝撃的だったんだけど。でまあ、そのランディ・クートゥアブロック・レスナーが勝ちました、って話なんですよ。

 要は、プロレスラーが総合格闘家に総合のルールで勝ったわけですよね、これは。でも俺はこの試合を見て、ほら見たことか!プロレスラーは本当は強いんだよ!的な気持ちには一切ならなかったんですよ。で、多分、日本のプロレスファンもこの試合の結果で、やっぱりプロレスは最強だった!みたいなことは言わないわけじゃないですか? 憶測ですけど。言う人もいるかもしれないけど。でも多分、本筋は違うよね。だってブロック・レスナーだし。強いけど、彼が別に俺らの中での「プロレスラー」ってものを背負ってるわけではない。

 マッスル坂井の「八百長★野郎」でハチミツ二郎が、プロレスラーが総合で勝つならプロレス技で勝たなければいかん的なことを言ってたんだけど、要はそういうことで、プロレスはガチでも強い説をとなえてる人っていうのはすごくワガママで、たぶんプロレスラーが普通に総合で勝ったところで本当のトラウマっていうのは解消されないと思うんだよ。たぶんそういう人は、プロレスラーがプロレス技で勝つことで、「なんでプロレスラーはロープに振られたら戻ってくるの?」的な答えも解決しようと思っている。

 でもそれは、やっぱり違うと思うんですよ。アイドルはウンコをしない、アイドルは恋愛をしない、アイドルは煙草も吸わない、ってファンが信じることと、実際のアイドルがどうなのかっていうのはまた別の話じゃないですか。プロレスラーが<本当は>強いのかどうかとか、プロレスに<本当は>台本があるのかどうかなんてすごく小さなことであって、見たものと感じたことが全てなのだから、それで良いんじゃないか?とかそんなことを思いました。

 「八百長★野郎」はプロレスヤオガチ論に関して色んな人が色んな視点から色んな意見を語っていてプロレスファンとしては刺激的な読み物なんだけど、でもそれって紙プロがやることなのか?っていうとすごくアレな気がするんですよ。そこでの仮想敵って、「プロレスラーなんて本当は強くないんでしょ?」的なことを言う非常にどうでもいい人々だと思うんだけど、そんな奴ら、別にプロレスも総合も見ないわけじゃん? そこと戦って何になるのっていうのか? 良かった頃の紙プロって世間を相手にしてる感がすごくあったし、当時で言うと「マンガ地獄変」とか「電気グルーヴのラジオ全般」とかもそうだと思うんですけど、ジャンル問わず世間を相手にケンカを売ってる感じって言うの? ああいうのをプロレスラーがやっていかないと、今の中学生が振り向かないですよ。

 だから結論としては、もはや才能のあるプロレスラーやプロレス者は、プロレスファンに向けて物を作ってる場合じゃないんじゃないか、世間にうって出るべきなのではないか、ということを思いました。特に中学生ですよ、相手は。全然まとまらないけど、「テレビとかネット上でバツグンに面白いプロレスのレギュラー番組」っていうのはどうすればうまく行くのか?っていうことをいま考えています。おしまい。