釣りバカ日誌

鈴建社員の岩切クン、ユンボを積載したトラックで折からの台風の中、スリップ事故を起こし……ATMが設置されている建物を壊してしまいマシタ。

 うっかりユンボで事故ったあげく気がついたらATMを破壊していた、というのは相当エキセントリックなギャグであると思うのだが、これがほとんど「次号へのヒキ」としてしか物語上作用していない、というのはかなり前衛ではないか? どうやったらそんな発想が出来るのか…。普通ならそんな話を思いついたら、そこに光を当てざるを得ないだろう。しかしその普通というのも、面白い物語を書こうとする人間にとっての普通であって、釣りバカはそうではない。鉱脈をたやすく捨てる。そこに釣りバカの、大御所マンガならではの堕落はあるのだが、同時にだからこそ表現しうる「無の極北」が存在していることも決して否定はできない。