モーニング娘。「Help me !!」のカップリング曲を絶賛する日記

 2013年の日本には、モーニング娘。という名前のアイドルグループが存在しています。1997年8月20日に結成され、1998年1月28日にメジャーデビューを果たしたこのグループは、果たして、未だに存在し続けています。メジャーデビューから数えたら15年。その年月は、おそらく一般的に言えば、短くはない期間でしょう。それだけ長いこと、モーニング娘。モーニング娘。であり続け、そして今日もまた、モーニング娘。であり続けています。もうその事実だけで、ちょっと異常な何かがそこにはあります。

 何かであり続けるということは、案外に難しいことです。なぜならば、何かであり続けるということはその必然として、過去の自分と闘い続けることが要求されるからです。歴史があり、その栄光を体験してなお、そこに負けることは許されない。たぶん、続ければ続けるほど、歴史が長ければ長いほど、続けること、歴史を紡ぎ続けることは難しくなる。過去の栄光があるなら、その栄光に耽溺するほうがずっと楽だし、その光景を夢見たって、バチが当たるわけではありません。自らがその手で作った栄光をよすがに生きるという、幸福の量で考えるならそのほうがずっと理に叶っているし、モーニング娘。がいつそうなってもおかしくなかったわけで、それで、15年が経ったわけです。

 そんな事情を踏まえた上で、モーニング娘。のプロデューサーであるところのつんく♂さんはいま何をやっているのか。もう、人が一生ぶんで書くには充分なほどのあまたの名曲を世に出してきた。それで終わったとしても、文句なんて言えるわけがありません。もう、しょうがねえと。曲なんて書かないでおいしいお米を食べさせるお店のプロデュースとかをやる人になっても、ですよねえ、なわけで。今までたくさん貰ってきたんだし。それはそれで仕方のないことです。そうなったとしても、ぼくはつんく♂さんに、ありがとう、って死ぬまで言い続けるのですが…。

 しかしつんく♂さんは、ぼくらが想像したり、したり顔で諦めたりすることを絶対に許してくれないくらいには、狂っておられる。やばすぎる! 何がって、「Help me !!」のカップリングが全曲あまりにも最高すぎるしマジでつんく♂さんがキレまくってんですよ、本当に! 言うたら限定盤のカップリングなのに、楽曲としての完成度と挑戦度がマジでやべえことになってんだよ! 「ワクテカ」からその兆候はあったけど、「Help me !!」のカップリング曲はあまりにも素晴らしいので全曲絶賛させていただくという、そういう日記です、今日のは。

 Happy大作戦(全員)

 初回限定A〜C/通常盤Bに収録。つんく♂さんにハローのアンセム書かせときゃ外れなし、って、たぶん100年後のいろはカルタの「つ」の文字札には書かれてると思うんですけど、そんな曲。歌詞に「Say Hello!」ってフレーズもあるし、いつかのハロコンの重要なところで歌われるでしょう、きっと。なんで、ハロコンに今後行く予定のある人とか、行く可能性がゼロではない人は、絶対に持ってないといけない曲。今後ハロヲタになるか戻るかする可能性のある人なら、これ聴いてないと絶対損をするような曲です。

 しかしまあ、この期に及んで、ハローに対するアンセムをまた書いちゃうつんく♂さんもどうかしてるって思う。山ほどあるのに、もう既に。でも、そういうつんく♂さんが大好き。現場に行く可能性のある人は、絶対聴いておいたほうが良いという、当たり前のような名曲です。

 哀愁ロマンティック(道重・譜久村)

 初回限定Dに収録。言うたら「道重ワールド」曲なんだけど、そこにちゃんとついて行ってる譜久村さんが最高! 道重世界をもちろん否定せず、邪魔することなく以上に、補完までしてしまうそのロマンチックボイス! まさにファンタジーを具現化している名曲。「クルリっとかわす スルリっと抜ける サラリっとよけるのが上手い人ね」の歌詞の運び方も抜群だし、音程無視パートのさゆの強さもさすがとしか言いようがない。

 この曲をエンドレスで聴かせられるって拷問受けたら、ものすごいアヘ顔で全部喋ります。というか、その拷問、金払うから受けさせてほしい!

 私のでっかい花(田中・飯窪・石田)

 初回限定Eに収録。これはちょっとド名曲すぎて、個人的には最もオススメできる一曲。分類するなら「ラップの曲」になるんだけど、これまでのつんく♂さんのラップ曲とは明らかに違う、こんな引き出しがまだあるのかよ!と驚いてしまう曲である。

 つんく♂さんはラップを色々書いてはいるけど、これまでの楽曲においては正直「ラップの真似をしている」曲にしかなっていない曲がすごく多かったとぼくは思っている。それはそれで、面白い化学反応を起こすこともあるんだけど、この曲はそういった楽曲とは別格、というか別次元にある。「女の子がラップをする」の未来と可能性がここにはあって、つうかもう、どうでもいい。とにかく聴いてほしい! モーニング娘。がいかに自由か、というか、自由であることだけを拠り所にしていることが、これを聴いただけで理解できる。これはもう、いやんなっちゃうくらいの名曲です。

 そして、言うのも野暮だが、田中れいなさんの歌声はとにかく最高! こんな素敵な歌を歌える人は、田中れいなさんだけ!

 なには友あれ!(生田・鈴木・佐藤・工藤)

 初回限定Fに収録。つんく♂さんも自ら語っているように「好きな先輩」の続編にあたる楽曲。もう、それだけで、泣けるやん? 感慨深すぎるやん? 女学生が「仲間」のいる日常を歌っている曲。もう、それだけでやばい。俺はこの曲を電車で聴いて、3回は泣いている。泣けるから良いってことじゃないのは分かってるけど、こんなに美しい曲にリアルタイムで出会えることなんて、モーニング娘。つんく♂さんがいなかったら、人生でそうそうなかったりはするのだってことくらいは知っている。

 9期と10期が歌えるようにって、つんく♂さんが作ってくれた曲。そういう、お前は何を言ってるんだ?って想いをつめたつんく♂さんの曲は、常に素晴らしい。そして、こんなに素晴らしい曲を受け取った9期と10期。ずっと一緒にいてほしい。モーニング娘。を好きだったことに対して、素直にありがとうと言えるような、そんな曲を作ってくれたつんく♂さん。ありがとうございます、以外に何が言えるのか?

大好きだから絶対に許さない(鞘師・小田)

 通常盤Aに収録。鞘師と小田、これから先のツートップがハモり続けるという曲。まー本当、うまいわ! 歌がうまい! 声がすごい! この二人で一曲やらせてみよか〜っていう、つんく♂さんも素敵すぎる。言うたらどの曲もそうなんだけど、つんく♂さんは娘。たちの声を楽器として捉えていて、その面白さをいま突き詰めている時期なんだと思うけど、それが素敵なのだ。つんく♂さんは、間違いなく今の娘。をすごく面白い遊び道具として見ていて、まあそのイズムも最高だし、そしてそれに応える娘。メンバーも素晴らしくて、もうだから、何が言いたいかって、いまのモーニング娘。って、やっぱりどう考えたって最高すぎるんだ、ってそういうことだ。

 いま、モーニング娘。を見ないのなら、いつ何を見るのか?

 アイドルがどうとか、音楽はどうとか、そんな難しいことはぼくは犬にでも食わせておけば良いと思っていますが、とにかく2013年のモーニング娘。はすごすぎます。好きになってほしいとか、別に、そんなこと思わないです、好きになる人は勝手に好きになるんだろうし。だけどとにかく、歴史的な事実として、2013年のモーニング娘。つんく♂は、頭おかしいだろって思うほどにすごいことを当たり前のような顔をしてやっていて、そういう風にして、今日もモーニング娘。モーニング娘。であり続けていたりするので、こんな人たちと同じ時代に生まれちゃって、ありがとうございますとしか言いようがなかったりするのですよ。