ネット・プロレス大賞2011投票

 今年も何だかんだと色々ありましたが、やっぱりプロレスとともに過ごした一年間でした。観戦しても観戦してもなお、新しい発見と驚きがあり、まあ時たま一切そんなのない場合もありますが、そんなときは酒とともにひとり愚痴れば良いわけで、こんなおかしな祭りが日常的な経済活動として行われているということに、改めて感謝を捧げようと思います。ありとあらゆるプロレスラーとプロレス好きに敬意と愛を込めて、ネット・プロレス大賞2011に投票します。

 原則として自分は会場推しなので、生で観戦してないものは除外しています。今年はALL TOGETHERに行けなかったのでその辺り悔いが残るところではありますが、振り返れば年間24生観戦の中から、以下に投票させていただきます。

MVP
 1位 澤宗紀
 2位 ディック東郷
 3位 ばってん多摩川

 1位と2位は、もう、これしか選びようがない! 本当に沢山の素晴らしいものをありがとうございます、と言うほかないです。馬鹿馬鹿しく生きることの大切さを、かっこよさを、ぼくらは人生を棒に振るために生まれてきたのだということを、人生を懸けて教えてくれた両選手にはどれだけ感謝してもしきれない。澤選手や東郷さんから勝手に貰ったものを、勝手に返していく、そんな旅だ、人生なんてものは。ありがとうございました。
 3位のばってん多摩川選手は、澤選手引退直前のロフトプラスワンイベントにて、あり得ない奇跡を起こしてくれたから、という一点のみで選出させていただきました。あのタイミングでのあのコケは、普通の人が何度生まれ変わってもできない、本当に文字通りの奇跡でした。あの場以外でばってん多摩川選手のことを面白いと思ったことは今のところ一切ありませんが、あの瞬間、プロレスをこれだけ見てきて一番笑ったという事実がぼくの中で確かにある。次にばってん多摩川選手のことを面白いと思うのは10年後くらいのことかもしれませんが、あの日あの瞬間のばってん多摩川選手は、確かにプロレスという名の奇跡を体現した、恐るべき存在でした。だからプロレスは面白い。

ベストバウト
 1位 9月17日 後楽園ホール 澤宗紀vsフジタ"Jr"ハヤト
 2位 2月27日 後楽園ホール ディック東郷vsHARASHIMA
 3位 2月3日 新宿FACE 石川修司vs菊地毅

 1位はもう、試合の中盤からぼろ泣き。自分はプロレスは生で観ないと何も分からないですよ派なのですが、この試合はまさにそれを証明するかのような、いや、本当に凄かった。人と人とがぶつかり合って、お互いの思念が観客によって増幅されて、さらにそれがリングに返っていく、永久機関のような現象を目の当たりにしているという感激。帰宅してからサムライの中継で観ても、残念ながら伝わらない、生身ならではの興奮と感激。言葉などではこの感動は伝わらないのですよ。人生がそうであるように。
 ディック東郷の国内引退ロードの中では、自分としてベストだったHARASHIMA戦を2位に。プロレスとは数学である、っていうことを感覚として理解できたという意味で、この試合を観ることができて本当に良かった。こう来て、こうなるから、このようになる。理屈なんだけど、理屈を超えた何かでもある。プロレスの深さを教えてくれたこの試合は、間違いなく、この二人にしかなし得なかった芸術作品でした。
 3位は煽りから泣きっぱなし。菊地選手のボーン・トゥ・ビー・アンヴィルさに痺れて、試合ももう、唇を噛み締めないと見続けることすらかなわないような熱い戦いで。これが男の子の生き様だと。あの日の菊地選手の立ち上がる姿をまぶたの裏に浮かべれば、どんな辛いことだって笑えてしまうくらい、そこには確かに、祈るべきものが存在していました。おれも頑張ろう!って、いま思い返して改めて感じています。

最優秀タッグ
 1位 大森隆男&征矢学(GET WILD
 2位 関本大介岡林裕二
 3位 バラモン兄弟

 誰が何と言おうと、GET WILDのワイルド問答は面白すぎる。この二人の試合後のインタビューをサムライで観て、笑わなかった試しがない。「お前は何を言っているんだ?」の答えは一切ないままに、延々と続くワイルドな問答。これを発掘した2011年のプロレス界は素晴らしいですよ!
 2位は、二人ともプロレスラーっぽくて超かっこいいので。3位は、二人ともプロレスラーならではの頭のおかしさを目一杯表現していたので。

新人賞
 1位 橋本大地
 2位 高尾蒼馬
 3位 富永真一郎

 橋本大地選手の試合内容に関して云々言うやつもいるだろうけど、橋本真也の息子として両国に立つ恐ろしさを、ちょっとでも考えたことがあるのかよ?と自分は言いたい。あの場に、逃げずに立っただけで、もう立派すぎる。唯一心配なのは、その髪型で本当に大丈夫?っていうのは思うけど、高校には覆面レスラーとして通ってたってエピソードも素晴らしいし、今年の新人賞は橋本大地選手以外にはちょっと考えられないです。
 2位は、あれだけのヒールっぷりを存分に発揮した蒼馬さまこと高尾蒼馬。ヒールであることに一切ひるまなかったその姿勢はすさまじくかっこよかったです。3位の富永選手、途中離脱しなかったらすごく楽しみだったけど、早く治して帰ってきてほしい。デビュー戦で、自分への紙テープを自分で掃除するムーヴを観て以来、ずっと応援してます。

最優秀興業
 1位 3月27日 DDT後楽園ホール
 2位 9月14日 ZERO1新宿FACE
 3位 11月16日 金原弘光デビュー20周年記念興行後楽園ホール

 震災後、首都圏でも節電が推奨されてたのが、今ではもう嘘のような、ずっと昔のような話だけど、あのタイミングでオープニングから超かっこいい&超しびれる演出をしてくれた、だからDDTは素晴らしい。「ピンチはチャンス」を感覚として理解してるからこそ、自分はDDTのことが好きなんだなと、改めて思えた大会でした。本当、むちゃくちゃかっこよかったです。
 2位のZERO1は、澤選手引退を前にして、なんかこの興業に関わるあらゆる人が奇跡を起こす人になっちゃったというか、それはお客も含めてだと思うんですが、興行として本当に神がかっていた。あらゆる瞬間がすさまじいことになっていた。改めて、うわ、プロレスってこんなに面白かったっけ?って言っちゃうぐらいの、神興業でした。ここに生で立ち会えたことは本当に僥倖としか言い様がない。
 金ちゃんの20周年興行も、そういった意味では、ファンとともにあった神興業。ぼくとリングを挟んで向かいに浅草キッドの玉ちゃんが観戦してたんですが、その表情、手拍子、立ち上がるタイミング含めて、うわ、俺と一緒の感じで楽しんでる人がそこにいる!って具合でずいぶん嬉しかったです。2011年にUのテーマで手を叩けるって幸せ! 試合もすげえ面白かったのでまたUのルールの興業観たい!って思います。

最優秀団体
 1位 DDTプロレスリング
 2位 ユニオンプロレス
 3位 全日本プロレス

 ここは結構悩んだんですが、震災後の興業、ならびにディック東郷選手引退前までは明らかに毎回神が降りていたので、1位はDDTプロレスリング。2位は、特に前半は団体として素晴らしい奇跡を起こし続けてくれていたので、ユニオンに。いま現在でどうなの?っていうと、結構言葉に詰まるところがあったりなかったりなので、2012年のさらなる発展に期待しています。3位は全ベルト流出っていう形で一気に目が離せなくなった全日本に。そこにぼくは、新しさを感じずにはいられないのですよ。
 とは言え結構、この部門は後ろ向きというか、過去を向いた順位になってしまった。追うに足りる、ストーリーとしての軸を作ってもらえないと、自分みたいなプロレスファンでも足は遠ざかってしまうというのを痛感した一年でもあった。面白い、のその先にあるものを、ぼんやりとでもいいから提示してもらいたいってことを、一人のプロレスファンとしてはすごく思ったりしています。

最優秀マスメディア
 1位 go fight(雑誌)
 2位 ラジオ日本「真夜中のハーリー&レイス」
 3位 プロレスメン(マンガ)

 「go fight」は超面白かった! 「KAMINOGE」含め、自分がこの場にいないことが悔しいって思える媒体でした。「ハーリー&レイス」はイベントもありましたし、まあ結局、超面白かった! マンガ「プロレスメン」は、超面白かった! これはマジでミスター高橋以降のプロレス界に対して何かしらを投げかけてる名作だと思いますので、本気で一読をお薦めします。


 以上をもって、ネット・プロレス大賞2011への投票と替えさせていただきます。長いわ!